あつしが落ちた。

担任の横江が電話でそう言った。

今日は高校入試の合格発表。あつしも俺も、それぞれお互いが受けた高校に結果を見に来ていた。

俺がさっき『俺、受かったよ!そっちは?』ってメールしたら返信が無かった。
それで今、担任に電話で報告するのと一緒にあつしのこと聞いてみた。

そっか、あつし、駄目だったんだ。

先生の電話のあと、すぐにまた電話がかかってきた。
あつしだったらどうしよう。

そう思って画面をみたら、あつしの母さんだった。

「もしもし?あぁ、しん君ごめんなさいね。あつしね、落ちちゃったのよ。」

電話ごしで聞くあつしの母さんの声はいつもと変わらず元気だけど、やっぱりがっかりしてんのかな、と思う。

「今あつしにかわるから、あつし、しょげてるからはげましてやって!…ほらあつし、しん君よ!」

あつしとかわったらしい。

あつしも俺もなかなか口を開けない。気まずい。

「………なぁ、しん。」

先に口を開いたのはあつしだった。

「俺、落ちちまったよ。」