―夕方―
親父と別れ、一人街中を歩いて帰った。
なんとなく、歩いていれば奈美に会えると思った。
「やっぱ会えねぇか...」
そう思っていた矢先、
「奈美?どうしてあいつが...」
車に乗って帰れば見ないですんだかもしれなかった。
気づかずにそのまま付きあい続けていけたかもしれなかった。
数十メートル先、奈美が別れたはずの男と歩いているのが見えた。
奈美がこっちを振り向き、目があった。
「ハッ、嘘だろ...?」
目があったのに、俺に気づいたはずなのに
気づいていないふりをして、男のほうに向きなおった。
俺はその場から一歩も動くことができなかった。
