「だけどね、あの人がさせてくれなかったの。【生まれてくる子供に、何の罪もない。ゴメン。】そう言われたの・・・・。何に謝ったのかはわからなかった。けどね、思ったの。」 沙紀の言葉に覆いかぶるようにして風が吹いた。 だけど、ちゃんと聞こえた。 「あぁ、この人も苦しんでたんだって。」 あいつが・・・? 苦しんでた? 会社の事しか頭になかった奴が? 信じれなかった。 沙紀は、悲しそうな顔で俺に微笑んだ。 本当に、心情が顔に出る奴だ。