「今更、【ねぇちゃん】だなんて呼ばないで。」


自分でも信じられないくらい低い声だった。


「・・・・。」


あたしは、まだ顔を上げずに話した。


「浩太の気持ちなんて、今更聞きたくない。だけど、モヤモヤしたままずっといるのは苦しい。」


「・・・・・。」


「あたしが、腕を切った時救急車呼んだのは、浩太?」


もう今は、傷痕だけが残る腕をさすった。


「そうだよ。」


イスをひく音が聞こえて、少しだけ顔をあげると向かい合うようにして先ほどまで、亜美が座っていた場所に浩太はいた。