その時"彼"は私達の視線に気付いたのか、ふいにこっちを見た。
目が合った途端、"彼"は一瞬微笑んだかと思うと、桜吹雪の中へと消えていった。
「ねぇ里香?今あの人こっち見てたよ?」
「う、うん。」
「里香…一目惚れ?」
「…そうかも。」
「良かったぢゃん!里香も、前に進めてるってことだよ?!あたし、応援するからっ!」
戸惑う私に楓は嬉しそうに言った。
入学式では、ずっとボーッとしていて新入生代表挨拶で名前を呼ばれた時も気づかなくて楓に背中を突っつかれたっけ。
それくらい私の頭の中は"彼"でいっぱいだったんだ。
