「里香!早く行かないと遅れちゃうよ?!入学早々遅刻なんて…私、嫌だからねっ!」
 
 
「ちょっ、待ってよ~」
 
 
私達は小走りに体育館へ向かう。
 
 
 
「ねぇ妃芽、まだ空くんのこと好きなの?」
 
 
 
「…どうだろ?よく分かんないや。」
 
 
 
「そっか…無理して忘れる必要ないんだからね!」
 
 
 
楓には何でもお見通しなんだね。
 
 
 
 
 
 
体育館へ向かう途中、ふと廊下の窓から校庭を見た。
 
 
舞い散る桜の花びら。
グラウンド一面がピンク一色に染まっている。
 
 
 
私は一瞬にして心を奪われた。