「落ち着くがよい。大丈夫じゃ。」

 言乃に詰め寄られ、雨の神は少し体を引いた。

「そうそう、焦るなってことのん。」


 はっと振り返ると、いたるところが泥で汚れているが、かすり傷一つないケイトが、水溜りのあった場所にいた。

 言乃は唇を真一文字に結ぶと、ケイトの胸を叩いた。


「バカですか?!もうっ…心配させないでください」


 珍しく取り乱している言乃に驚き、ケイトはそれだけ心配させたのだと反省し力なく笑った。
胸に押し付けられた言乃の頭を優しくなでた。



「大丈夫だから。な、言乃。」