ことのん─言乃は胸を張ったケイトを見てクスクスと笑った。 共通の友人を訪ねた帰り、駅で別れるはずのケイトが突然、言乃に送ると言い出して、二人一緒に雨の被害を受けたという訳である。 何もかも濡れてしまって諦めたのか、二人はのんきに住宅地を歩く。 そんな二人を後ろから見つめる《影》があった。 「おい!お主ら!」 言乃とケイトは同時に振り返ってその《影》を見た。