「さて、と。これでお主ら二人とも合格なのじゃが…」

「何か不都合でもありますか?」


 歯切れの悪い雨童に言乃が尋ねた。雨童はこくりとうなずく。


「そうなのじゃ。帰りのチャイムが鳴ったら──あ。」


 雨童の言葉の途中、その噂の帰りのチャイムが鳴った。


「これが鳴ったら何だって?」


 雨童は悲しそうに俯き、手の指をいじりだした。


「帰らねばならぬのじゃ。」

「帰るって…どこに?」