寒い寒い雪の日、わたしは誰かの腕に抱かれて寝ていた
わたしを抱いていた「誰か」が誰なのかはわからない
ただその「誰か」は体の表面はすごく暖かいのに体の奥の方には氷よりも冷たい「なにか」があるのをわたしは幼いながら感じていた
「あなたは誰?」
わたしが問いかけてもその人は答えてくれなかった
「…」


それがわたしの記憶の始まり

わたしは夢を見ていた
幼い頃の曖昧な夢
この夢を見るときは精神的に不安定になってるときって決まっている
こんなときはあの人の所にでも行こうか…

わたしが迷っていると

あの人はわたしの部屋にきた
「悠、久しぶり。元気してた…訳ではなさそうだね。あの夢見たの?」
遙はすごい。わたしが思っていること、感じていること、考えていることを百発百中で当ててしまう。
「うん。今回もあの『誰か』が誰なのかは分かんなかった…思い出せなかった…」
「大丈夫だよ。無理に思い出す必要はないから。ゆっくり、ゆっくり無理しないで思い出していこう」
遙はいつもわたしの事を慰めてくれる。
わたしの過去を知る数少ない人。
「今日は学校休むから…連絡しといて」
「わかった」



こんな日はベッドでゆっくり寝ているのが一番だけど遙はそうさせてくれない。
「さぁて、優しい優しい僕は落ち込んでいる悠ちゃんを体で慰めてあげましょうか!」
と言って自分の服をさっさと脱ぎ、わたしの服まで脱がせてくる。
あぁいい加減にして欲しい…眠らせて欲しい…