音の鳴る方へ視線をずらすと
持ち上げていたはずの白身魚が
姿を消していた。
「花ちゃん気付いた?
ぼーっとしすぎでしょ?」
顔を上げるとさっきまで
取り巻きに囲まれてた林先生が
隣に座りもぐもぐ口を動かしていた。
「もしかして魚のフライ…食べました?」
「花ちゃん話しかけても無視すんだもん♪
それに全然食べないから
いらないのかと思って♪」
「もーーー!!楽しみにしてたのに!!」
はっ…まずい…
林先生になれなれしくしゃべると
さっきみたいに睨まれる…
恐る恐る辺りを見回すけど…人気はない。
「さっきの奴らならもう帰したよ
1時から俺の事待ってたらしいよ~
休憩とりすぎじゃねぇ?」
そんなことはどうでもよかった。
やっぱりいつでも敬語を使わなくちゃ…
林先生のファンがどこで見ているか
わかったもんじゃない!
「ねー花ちゃん…
魚のフライのお詫びに
ご飯でも食べに行かない?」
