「ユキ、見つけた。でもこっからは来た道と反対方向になる。俺は今から行ってみるけど、ユキはもう帰れ。疲れたろ?」

「ナツキ。無理はしないって約束したでしょ。今日は帰ろうよ。それに土曜日だから、たぶん病院に行っても10年前の事、調べてもらえないと思う。」

私の言葉に納得したのか、「帰る。」と言ってくれてホッとした。




でもその夜、ナツキから呼び出しの電話が鳴った。時計を見ると10時を過ぎてる。こんな時間から外には出られない。

お母さんにナツキが来る事を告げ、リビングで待っていた。




「夜分遅くにすみません。」

お母さんは謝るナツキにお茶を出しながら、

「いいのよ。大事な話なんでしょ。ウチは構わないからゆっくりしていきなさい。ユキから話は聞いてるわ。何かあったらいつでも協力するから。一人で抱え込んじゃ駄目よ。」

そう言ってリビングから出て行った。