《ナツキの気持ち》
あいつ、『父親じゃないなんて言うな。』て言ってたけど、この10年間俺には父さんがよそよそしく感じられた。
いつも遠慮がちに接してきて、心の底から笑った事なんてなかった。
あまり話もせず、人との関わりも避けてきた。だっていきなりドイツだぜ?言葉なんか分かるかよ。
いつも一人で友だちだっていなかった。
最初は分からなかった言葉も、少しずつ分かるようになったけど、誰一人俺に話しかけるような物好きはいなかった。
いつもブスッとして笑わない俺に誰が話しかけんだよ。
母さんは母さんで、明るかったけどいつも俺のご機嫌伺ってオドオドして。まともに叱ってくれた事なんてありゃしない。ハハ…。
乾いた笑みが漏れる。