この日はナツキに色んな話をした。私の知ってる限りの夏樹の記憶。
今と変わらずシャイで、強引で、悪戯好き。回りの子を惹き付ける魅力があって、リーダー的存在。そのくせ私にだけは甘えてくる。
「俺って成長してねえな。これじゃあ、昔からユキにはメロメロだったんじゃん。」
「うふっ。そうかも。」
ナツキが寝ると一緒にうたた寝して、気が付けば外は真っ暗だった。
「ナツキ…ナツキ、起きて。あんまり寝ると夜眠れなくなるよ。」
「ん…ああ。あれ、もう真っ暗じゃん。」
「うん。そろそろ帰るよ。明日は学校だから放課後来るね。退屈だろうけど、ちゃんと先生や看護師さんの言うこと聞かなきゃ…。」
「だ――もう、分かったって。お前は俺の母ちゃんか?口うるせーぞ。」
「はいはい。じゃあね。」
良かった。大分落ち着いたみたい。早く退院できればいいな…。
私が病室を出た後、ナツキは一人呟いていた。

