ナツキの病室に戻ろうとして呼び止められた。

「ユキさん。さっきの様子からして、私は会わない方がいいだろうから、今日はこのまま帰るよ。またあの子が落ち着いたら会いに来る。申し訳ないが明日、着替えとか届ける時一緒に来てもらえないだろうか?」

「はい、わかりました。じゃあ、私はもう一度会ってから帰ります。気をつけて帰って下さいね。」

「ありがとう。」

そう言って帰って行く姿はとても寂しそうだった。




コンコン…

「ナツキ?」

ナツキは窓の外をじっと見てる。もう日は暮れて西の空が少しだけ薄明かるい。

病院の駐車場が見える窓から、車が一台出て行くのが見えた。

「気分はどう?落ち着いた?」

「最悪。」

「……。」

「何もかもがごっちゃになって、何が何だか分からない。」