病室に案内され看護師さんが出て行くと、ナツキはブスッとした表情で話し出した。

「大袈裟なんだよ。階段から落ちたぐらいで入院なんて。」

「まあ、そう怒んないでよ。ナツキが助けてくれなかったら私が落ちてた。ありがとう。大きな怪我じゃなくてよかった。」

「そうだけど…。あいつ今度見つけたらタダじゃ置かねえ。」

「あいつ?」

「ユキを突き飛ばした奴。」

「何言ってんの?あんな通りすがりの人、見つかる訳ないじゃない。第一顔だって 見てないのに。」

「折角ユキとデートだったのに、台無しにされた。」

「大丈夫。私はナツキの傍にいる。二人でいるんだから、ある意味これもデート?ポジティブに考えよー!」

「…お前、人を恨んだ事ないだろ?」

「…あるよ。」

「へー、あるんだ。誰それ。」