『初めて』という言葉でこんなにホッとするなんて。

いつの間にこんなに独占欲が強くなったんだろう。

密着した体に伝わる鼓動。これは私の…?ううん、ナツキだ。

「ナツキの胸の音、凄く速い。」

「うん…ユキにドキドキしてる。こんなに綺麗で、フワフワして柔らかいなんて思わなかった。」

「フワフワ…て、綿菓子みたいじゃん。」

「うん。甘くてフワフワの綿菓子、 食べたい。」

「……。」

「でもその前に腹減った。今何時?」

時計を見ると10時を指していた。

「家に電話しなきゃ。」

「うん。もう起きよ。」

「……。」

「おい、退けよ。」

「だって…。」

「?」

「離れたら…見えちゃう。」

「あーはいはい。これでいい?」

ナツキは枕を顔の上に乗せた。

「絶対…見ちゃ駄目だよ。」

「わかったって。早く退いて。重い。」

ナツキが脱がせたスエットを着て、二人で下に降りた。