「千広、なんかあったの…?」
由衣は、心配そうに俺の顔をのぞき込んだ。
由衣のいい香りがする。
「いや…」
“なんか”が今からあるから、なんだけどな…。
決心しただろ?
早く言えって!
自分にそう言い聞かせて、息を大きく吸い込んだ。
「……由衣」
二人っきりの教室には、俺のつぶやいたような声でも大きく聞こえた。
名前を呼ぶことだけなのに。
こんなに緊張したことはあっただろうか。
少しだけ声が震えてる気がするし…。
まじでかっこわりぃー…。
「んー?」
けど、由衣はそんなこと気づいてない。
バレてない。
バカだな、由衣。
でも、
「俺…、由衣が好きだ」
俺は由衣の綺麗な目をしっかり見て、言った。