10月、

毎年恒例の合唱祭。
入学してはじめての、コンテスト。


このクラスで優勝したい、
少しでも力になれたらって私は指揮者を受け入れた。
美穂は伴奏やることになって、
私達は一層、気合いが入っていた。


放課後、夕日が赤く染まっていくのを見ながら
美穂と二人で音楽室で練習。
せめて指揮と伴奏は完璧にしたい、


「美穂、もっかいやろ!なんかここがうまく合わないんだよね、。」

「よっしゃー、やりますか。」


なんて言いながらあれでもない、これでもない、と悪戦苦闘。


ガチャ

!!!


急に静かだった廊下から重たいドアが開いた。
そこには溝口先生がこっちを見て立っていた。


「先生、どうしたんですか?」

「いや、なんかこんな時間まで電気ついてるなんて珍しくてな。」


そういうと先生は夕日を見つめながら話し出した。


「こうやってクラスのために一生懸命やってくれる奴がいるって、有り難いな。修次さんは誇りだろうな。」


修次さんとは私達の担任。
先生はなんだか切ない顔をしていた。

でもすぐに笑顔で
「美穂もひかるも無理しないで頑張れや。」
って言うと私達の頭をポンポンして出て行った。