それからの毎日は辛かった。
溝口先生の姿が見えても会わないように遠回りしたり
話しかけられることがないように時間がないような素振りをしてみたり。
選択社会の授業もさくらがいたから出ないようにしてた。
ある日授業を、さぼって主事さんの部屋に居座ってた時だった。
授業時間がすぎ教室に向かう途中に溝口先生とすれ違ってしまった。
『ひかる！』
聞こえないふりをして通りすぎようとした。
『おい！』
溝口先生は私の腕を掴んでいた。
あっ、久しぶりにこんな近くで先生をみた。
やっぱりかっこいい。
でもなんだか疲れた顔してる。
『ひかる…』
先生は私のことをじっと見つめる。
私は耐えきれず腕を振り払って走り出す。
多分先生は追いかけてこない。
わかってたけど途中で振り返った。
先生はただこっちを見ているだけだった。
私はまた走り出して教室に戻る。
