「分かんないんだもん…」


「分かんないって、自分のことだろ?」


そうだけど…


でも、やっぱ分かんない。


「分かんないんじゃなくて、言いたくないだけじゃねぇの?」


言いたくないだけ…?


「俺に気使ってるんだろ?
前みたいに、嫌いなら “嫌い” って言えよ。」


「な…っ
嫌いなんてそんな「違うならなんで言わねえんだよ?」


…なんで、そんなこと言うの?


蓮のこと、嫌いなわけないじゃん。

本当に、分かんないんだって。


「はっきり言えよ。」


なんで、こんなことになったの…?



今日の蓮、いつもの蓮じゃないよ。



冷たくて…

怖い…


「…っ」





ダッ…






あたしは、走って視聴覚室から出る。


「…ちょ、おい!
憐!」


蓮の言葉を無視して。