「辛いんだろ?
…無理すんなって。」


辛くなんてないもん。

無理なんてしてないもん。


「悩み、聞くだけなら聞くからさ。
一人で溜め込むなよ?」


崎本はそう言って、あたしの頭を撫でた。


優しい手…


「あ、ありがと。」


崎本って、多分根から良い人だ。


「崎本も、悩みあるでしょ?
聞くよ?!」


「悩みなんてねえよ。」


あるくせに。


「憐のこと好きなのに、憐は逢沢のこと好きそうで焦ってる…
ように見えるけど。
違うのぉ?」


「な、なんで知って…」


バレバレですけど。

顔に書いてありますけど。


「憐のこと諦めるために、色んな女の子に愛想ふりまいてるんでしょ?」


「…」


崎本黙っちゃった。

キツく言いすぎたかな?

あたし毒舌らしいし。


自覚はないんだけど、よく言われる。