「健太……好き……。付き合ってください……。」

ある日の放課後の理科室。
俺は奈美に呼び出されてここに
来た。そして…告られた。

奈美は、学校でも有名な美少女。花燐派と奈美派でこの学校の男子からの人気を二分していた。
俺は断然、花燐派だった。
だって好きなんだもん。

そして、その美少女が俺に
付き合ってくれと言ってきた。

女子に告白されたことは
何度かある。

自分で言うのもなんだが
俺はモテた。
だけど、そんな女の子たちの
告白を一度もOKしたことは
なかった。

いつものように俺は断るつもり
だった……が、奈美に「ごめん」と言おうとしたその時、理科室のドアのとこに人影が見えた。

「……誰?」

俺はそう呟いてドアのとこまで
駆け寄った。すると、

タタタタ………

階段を駆け降りる音がした。

誰かに聞かれた?

そう思って追い掛けようとしたがそれは流石に奈美に失礼だ。

俺はまた奈美の方に向き直ると

「……答え…明日聞くね。」

恥ずかしくなったのか
そう言って奈美は俯きながら
小走りで理科室を出た。

ぽつん……

俺は一人理科室に取り残された。
「……帰るか……」

そう言って俺はバッグを持って
理科室をあとにした。