その日の帰り道。 大輔は考えていた。 千歳が自らの夢を語り、ピアノを本気で上手になりたいと考えていること。 その千歳に自分はなにをしてあげられるか。 昔の自分に似ている千歳を放ってはおけなかった。 一人自転車を押し、考えながら歩いていると、大輔を呼び止める声がした。 「大輔~‼」 大輔は声のする方に振り返った。