大輔が年甲斐もなく自転車を飛ばして到着したバイト先。 「ミサキ音楽スクール」 いわゆる学習塾の音楽版である。大輔はここで音大や芸大を目指す高校生にピアノを教えて、自らの生計を立てている。 大輔は音大卒であり、ピアノを専攻していた一応は元ピアニストなのである。 時間は16時10分前。授業開始は16時だからギリギリ間に合った形であった。 大輔はミサキ音楽スクールの扉を開けた。