その反論も虚しいものであったことにすぐに気づかされた大輔だった。 「じゃあ出なよ!大きいホールでサクの演奏聴いてみたいよ。聴けばあたしの自信にもなるし…」 と千歳に言われたからだ。 最後の言葉の意味は大輔にはわからなかった。 だが ただのピアノの演奏会だと考えればいいことはわかった。 そして 半ば千歳の勢いに負けたところはあるが、コンクールに参加することを決めた大輔だった。