機械仕掛けの冒険者たち

僕は少し目眩がした。
周りの風景が歪んで見える。まるでおかしな比率で作ってしまったジオラマのようだ。それは酒のせいかも知れない。よく分らない。

軽く動悸がして背を丸めて歩く僕は、自分が歩いているアスファルトを見つめながら「くだらないな」と呟いた。

この世界が神様の言う通りの世界であるならば、僕らはまるで血や肉で出来たロボットだ。どこかで勝手に遠隔操作されながら、すっかり分かりきっている世界の地図を広げ、目的の無い旅をしているだけなのだ。その姿を見て、きっと神様は物陰でほくそ笑んでいるに違いない。

そう考えていたら、この世界には真実なんか何にも無いと感じた。僕らの『すべて』は薄っぺらく、触るともろく砕けてしまいそうに思った。
目の前を歩く幸せそうな親子連れも、建設中の高層マンションも、風に逆らって必死に翼を動かしているカラスも、ガラス越しに映る作り笑いのウェートレスも、僕の目に映るものすべてが、何かのドラマツルギーの一部のように感じた。

僕はこの世界のすべてが、何だかセンスの無い悪い冗談のように思えた。