機械仕掛けの冒険者たち

「困ったな。私はキャッシュを持ち合わせていないもんで…」

「僕が会計をしますから大丈夫です」

…やれやれ、僕が神様におごるのだ。


我々は店を出る。「これも『イレギュラー』ってものですか?」と僕が言うと、神様は申し訳なさそうに「・・・ごめんね」と言った。神様は今度は笑っていなかった。

「では・・・失礼させてもらうよ。行くところがあるので」

神様は僕にそう言い残し、少し千鳥足の神様はフラフラと歩いて行ってしまった。


真冬の冷たい風は辺りの街路樹を大きく揺らし、暗黒から聞こえる獣の咆哮のような音を立てている。その刃物のような風は僕に容赦なく切りつけるように吹きつけ、通り過ぎていった。

僕はダウンコートのフードを被り両手をポケットに突っ込むと、あても無く歩き始めた。