機械仕掛けの冒険者たち

神様はオムレツをスプーンですくって食べた。

「しかし神様は『何でも無し』ではないんですか?」

僕はさらに質問を重ねた。僕のシーバスリーガルは溶けた氷で薄まり始める。

「そうだ。我々神は『何でも無し』だ。しかし我々は君たちの行く末を案じ、円滑な社会システムを構築することによって、世界の整合性を保とうと決めたんですな。その方が君たちにとって良いことなんだよ。『何でも無し』とは、・・・この例えが適切かどうか分らないが・・・水割りの水は特殊な液体ではなく『水』なんだ。要するに我々は功利主義的なものとは無縁であり、何の見返りも期待せず君たちの運命のパラメータを調節しているだけなんですな」

神様は言い終えると煙草に火を付け「これは仕方のない事なんだ」と付け加えた。

「それは完全な支配なんですか?僕らは自らの人間生活を制限され、すべては管理されていると言うことなんでしょうか?」

僕は少し語気を荒げて言った。整合性?冗談じゃない、そんな酷い話があるものか。