機械仕掛けの冒険者たち

辺りは店内に流れるジャズと、カウンターの女性客がCLASSYをめくる音以外はしんとしていた。そして依然として店を訪ねる者は無かった。
神様は話を続ける。

「とにかく君たちはそれぞれのテーゼをつくり、それぞれが強要や批判を繰り返し、混沌とした社会システムを構築してしまった。かつて君たちが投げたボールはすっかり忘れ去られてしまったというわけですな」

店員がオムレツを運んでくる。
神様はスプーンで作りたての軟らかいオムレツを割り、微かに立ち上る湯気に顔を近づけ香りを嗅いだ。
そして神様は大事そうにオムレツを口に運びシーバスリーガルを飲むと、とても満足そうな顔で頷いた。
神様は本当にオムレツが好きなんだと思った。僕はシーバスリーガルをすする。

「我々神はそんな君たちをそのまま放っておくわけにはいかなかった。そこで神は本格的に、あるいは原子命題的に君たちの保全、つまり、より深い支配に取り掛かったわけだけれど・・・「ちょっと待ってください」

僕は言葉を挟んだ。