幸いにも私の焼きそばのパックの中は空っぽだった。

でも水季の焼きそばが少し残っていた。




「みずっ…」

しばらくしてから私達は人があまりいないところに来た。

すると水季は振り返り私を抱きしめた。

利緒、そう水季が小さく呟いた。

今の水季は、手放してはいけない気がする。手放したら簡単に崩れそうだった。

「………」

私は静かに水季の背中に腕を回した。

しばらく、こうしていたいと思った。

いつも感じる水季の暖かさ。

その暖かさで私が眠ってしまいそうになった時、水季が言った。


「俺の事、幼なじみ以上には見てくれないわけ?」