妄想彼氏

「水季、お腹減ったよ」

「だなぁ、なんか買うか?」

「うん!」

周りを見るとカップルだらけ。

私達もその部類に入るのかな。手とか繋いでるし。

変に勘違いされても困るな…。これは逸れない為にやってるだけだし。

いろいろ考えてると水季が焼きそばを買っていた。

「ありがと」

「いいってこれぐらい」

そう言って水季はニカッと笑った。つい可愛いと思ってしまう私。

席をとり、焼きそばを食べていると私は水季の視線に気が付いた。

「な、何?」

水季の視線の先は私だった。思わず顔を赤くしてしまう。

「いや、可愛いなぁって」

またコイツは。なんて恥ずかしい言葉を言うんだ。

「もうやめてよ。変に意識しちゃうじゃんか」

「……………」

私がそう言った途端、水季は黙り込み俯いてしまった。

私、変な事言いましたか?

「水季?」

すると水季は立ち上がって私の腕を掴んだ。

そして水季はズカズカと歩きだす。

ちょっと怒ってるような水季。

でも、私の腕はしっかりと、手放さないように握っていた。