妄想彼氏

真剣な顔をした藤坂君。

なんで…そんなこと聞くのだろうか。

私はなんて言えばいいかわからず弥生に助けを求めた。

「裕也、利緒の答えは"YES"だよ」

「え?」

「でも利緒は男を友達としてしかみてないから」

さすが弥生。

私の'好き'は友達としてだということがわかってる。

男を恋愛感情でどうしても見れない。

私は、きっと恋なんかしてはいけないんだ。

私は全てを捨てた。

あの時から――。

「利緒」

「ふぁい!」

クスクスと笑う弥生と藤坂君。

(まただ…)

ボーとしずきて声が裏返ってしまった。

なんだよふぁいって。私は自分で自分をつっこんだ。

すると弥生は立ち上がって、

「別に無理して昔の事思い出さなくていいよ」

と言い私の頬を流れた一粒の涙をハンカチで拭いてくれた。

「あ―もう!変にドキドキさせないでよぉ!」

私がそう言うと弥生はニッコリ笑って私の頭を撫でた。

「こう言う事にはドキドキするんだ?」

弥生はそう言い後ろを振り向いた。

弥生が今どんな顔をしているかなんて分からない。

でも、一つわかったのは藤坂君に向かって言った事。

手が暖かい、そう思い私は視線を下に落とすと、私の手は弥生に握られていた。

こういう事を自然に出来る弥生って凄いな、と改めて思った。