妄想彼氏

「利緒?」

「あ…ごめん」

なんか…そういう事考えてたら涙が出てきそう。

この二人の温かい笑顔を見たら、泣けてくる。

絶対守りたい。

この二人の全てを、守りたい。

綾音、私、もうあんたから逃げない。

この二人を傷付けたりしない。絶対に。

*******

「そうだ、裕也、後で話があるんだけどいいかな?」

「いいよ」

あ…そういえば弥生誘うとか言ってたな。


ご飯も食べ終わり、二人はテレビを見ながらワイワイしていた。

そして花火のCMが出た時に弥生は思い出したらしい。

このままCMが出なかったら弥生はどうしてたのだろう。

絶対、当日に思い出して言いそう。

それで相手を困らせる弥生は正直めんどくさい。

私を使って、誘ったりするんだもん。

だから私も一応注意はしてたけど、途中からめんどくさくなったから止めた。

その時はその時で。

という思考が私に迷惑をかけるけどね。

まぁ今回はCMのおかげで助かったよ。

ありがとう、CM。

「その…花火大会一緒に行かない?」

「早…」

いくらなんでも早過ぎるだろう。

…弥生の事だから早く言いたかったんだろうね。

「…利緒は?」

「へ?…あぁ私?私は水季誘うから」

急に私に振られたので思わず声が裏返ってしまった…。

「…いいよ」

少し遅れた藤坂君の返事はなぜか悲しそうだった。

どうかしたのかな。