妄想彼氏

綾音は一度、アメリカに引っ越した。

もう帰って来ないと思ってた。

正直私にはとても都合が良かった。

私は、綾音に虐めを受けていたから。

理由はただの嫉妬心。

綾音は水季が好きだった。

でも、水季は綾音を相手にせずに私に近寄ってきた。

だから私は綾音に敵意を向けられた。

誰かに伝えたかった。

皆の知らないところで私が苦しんでいることを。

でも、それを誰かに知られたら、どうなるかも分からない恐怖で私は動けなかった。

それに、水季の優しい笑顔を見ると余計に言えなかった。

傷付けたくない。

私は貴方の笑顔が見れればそれでいい。

私の心はそういう感情でいっぱいだった。

だから決めた。

強くなりたい。

そう誓ったんだ――。