妄想彼氏

「利緒〜綾音って子が呼んでるよ」

「え…」

私は嫌な予感がして、恐る恐るドアの方を見た。

「…綾音…」

「久しぶりだね、利緒ちゃん」

今、私の目の前には会いたくない人が。

私の後ろではこの光景を見られたくない人が。

「また相談ですか?水季ならいつでもあげますから」

「…それじゃ駄目なの…水季が私の事、本気で好きにならないと」
「だからって私にあたらないで」

私は綾音に冷たく言い放った。

今の私は、前よりかはきっと強いはず。

「利緒?」

私の名前が聞こえたような気がした。

「水季…」

そこに立っていたのは水季だった。

「あ…綾音?」

水季は綾音の存在に気付き、少し動揺した。

「あ!久しぶり〜」

綾音の急な登場で驚いているのだろうか。

水季はずっと固まっている。

すると水季の顔はずくに真剣な顔になった。
「今さらなにしに…」