そう聞いたあたしに仲間の1人は、予想してた通り『えー?いいじゃーん、売ってよー』と不満な顔して身を乗り出してきた。
「すみません。身分証明書を見せてもらわないと売ることはできないんです」
あたしがそう言っても、
「そこをさぁ……売ってくんねぇ?今度何か奢るからさぁ」
そう返してきて『って、いつ奢るんだよって話だよなぁ!』と、仲間たちで騒ぎだした。
何度も『売ってよー』とか『いっぱい買うからさぁ』と、しつこく頼まれた。
それでもあたしは心折れることなく断り続けた。
けど、さすがにしつこいからあたしもイライラしてきていて、
“無理なものは無理なんです!”の『む、』の字まで口から出たときに、1番前に立ってる会計係りらしい金髪の男が口を開いた。
「無理なもんは無理なんだよ。この子だって困ってんだろうが。つーかお前らうるせぇから外行ってて」
金髪のおかげで、さっきまでしつこかったヤンキーたちは外へ行ってくれた。
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