「今の流行りに決まってんじゃん。知らないの?」
「全然知らねぇ。だってそんなボッサボサな女視界に入らねぇし」
余裕たっぷりの顔で朔はそう言い返してきた。
そこからいつものように言い合いは始まり――…、
もちろんその言い合いを止めたのは、
『見て、今日の目玉焼きキレイじゃない?』と、呑気にあたしたちに聞いてきたお母さん。
お母さんにとってはあたしと朔の言い合いは日常の事だから、特に気にしてはいない。
お父さんもお母さんも、あたしたち子供は“すくすく育てばいい”って思ってる放任主義だから、うるさく何かを言われたことはない。
だけどいつも良いタイミングで止めてくれる。
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