この状況からあたしは脱け出したいのに、誰も助けに来てくれない。
早くお弁当食べたいのに!!
……そんなあたしの心の叫びが誰かに届くわけもなく。
妖しい笑みを浮かべる蓮が、少しだけあたしに近づいた気がしたと思ったら―――……。
ドアに寄りかかってるあたしの顔の横に手を置いて、確かに蓮とあたしの距離は縮まった。
「ちょっ、な…何っ?」
「ん?別に」
「じゃ、じゃあ、この手退かしてよ」
「無理」
「は?」
この男は何考えてんの?
そんなにあたしを困らせたいの?
しかも昼休みでたくさん人が廊下を行き来してるっていうのに。
他人から見たら怪しい状況を、たくさんの人が明らかに見てるっていうのに。
近づいてきた蓮は気にしてないみたいで、それがまたムカついた。
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