気付いた時にはあたしも好きになってて、大嫌いだった時の気持ちは思い出せなくなってた。
今ではすっかり甘く低い声に騙されて、あたしはチャラ男の彼女になってしまった。
まぁ、チャラ男は卒業してくれたみたいだから、過去を掘り返すようなことはしないつもりだけどね。
蓮の過去の深い部分も知ることができたし、不安はもうない……つもり。
―――……蓮は隠さずに何でも話してくれるようになって、お父さんとの関係も今は良好らしくて………。
「澪ちゃん。蓮をよろしく頼む!」
………なぜか………あたしは蓮のお父さんに頭を下げられている状況にいる。
事の発端は、今から1時間前。
蓮の家に前日から泊まりに来てるあたしは、蓮とある話をしていた。
『親父が結婚するらしくて、彼女の家に住むから家出てくって』
『え、じゃあ蓮あの家で1人で暮らすってこと?』
『あぁ。で、親父と彼女が澪に挨拶したいって』
『ちょ、何であたし?しかも挨拶って…』
『親父が“蓮は澪ちゃんにしか頼めないから”って言ってた』
『はぁ…』
『あと1時間後に来るって』
『え?!』
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