負けるなんてさらさら思ってないあたしは、


蓮に『今なら止めてもいいよ？』と、しつこいくらい温泉に行くまでの道で言ってた。




「あんま長風呂すんなよ。俺１人にすると綺麗なお姉さんに連れてかれるかもしれねぇから」




蓮は“男湯”と書かれたのれんを潜（くぐ）る直前に、そんな言葉を残していった。



あらそう。

ナンパされる気満々ってわけね。



確かに旅館に来るまでに、隙があらば何人もの綺麗なお姉さんたちがナンパしてきたもんね！



蓮も満更じゃなさそうだったしね！？



……別に、妬いてるわけじゃないし……。




深いことは考えないで、温泉を楽しむことにした。




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