「なに悲しい顔してんだよ。澪にそんな顔してほしくて話したんじゃねぇよ」
「うん…」
「今の俺見れば分かるだろ?過去は過去。今は全然気にしてねぇ」
「……」
「むしろ家に親父いないから、1人暮らしみたいなもんで超快適」
「……」
蓮が笑顔で話すから、余計にこっちまで辛くなる。
本当の笑顔なのかもしれないけど………疑いも晴れない。
けど、やっぱり蓮は―――……あたしの心を一瞬でさらっていった。
「今は1人じゃねぇし」
「……」
視線感じて横を見ると、優しくあたしを見つめる蓮の瞳があって……。
「前までは寂しさを紛らわすために女とっかえひっかえやってたけど、澪に会ってから変わった」
「……」
「澪がそばにいてくれんだろ?」
今は平気だとしても、きっと過去には辛い時期があったと思う。
それを忘れることはできないかもしれないけど。
蓮がそばにいてほしいみたいだから。
……あたしがそばにいたいから。
………これからもずっと、そばにいてあげようと思う。
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