視線を少し上げれば蓮がいて、『体、痛くねぇ?』と優しい声が降ってきた。
頷いただけのあたしのおでこに、蓮はそっとキスをした。
それからあたしたちは情事後の何とも言えない倦怠感があったからか、
約1時間そのままの状態で一緒に寝てた。
初めての腕枕は思う存分味わうことができた。
起きた時には窓から太陽の光りはなく………空は暗くなっていた。
目を先に覚ましたのは蓮の方で、あたしが目を覚ますと、こっちを優しそうな瞳で見ていた。
「なに……見てた…?」
そう聞くあたしに。
「澪の可愛い寝顔」
恥ずかしげもなく、そんなことを言っちゃう蓮。
『バカ……』と蚊の鳴き声より小さく呟いたあたしに、
『そういうとこが可愛いんだけど』と、さらにあたしの顔を赤くさせた。
………そんな風に久しぶりにカップルらしい時間を過ごしたものの、その時間は長くは続かなかった。
何台ものバイクの音が聞こえ近づいてくるのが分かり、それが朔たちだと――…あたしも蓮も察した。
裸のままだったあたしたちは急いで服を着て、何事もなかったかのようにたまり場へと向かった。
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