離れようとした時に少し体は動かせたから、膝立ちになることができて密着することはなくなった。
でも、距離は近い。
蓮の吐息が、少しだけあたしの首にかかった。
ドキドキしてきて、蓮から出てる男のフェロモンを感じるからなのか、密着してるわけでもないのに、体が熱くなってくる。
「襲った気分はどう?」
「だから、襲ってないって言ってんじゃん。蓮が手離してくれないからでしょっ」
「俺のせい?」
「そうだよ!」
蓮が手を離してくれたら、あたしはこの体勢からすぐに脱け出せるのにっ。
掴まれた手を動かそうとしても、ピクリともしない。
「男っぽいくせに、やっぱり力は女の子なんだ」
蓮は自分の手から動かせないあたしを見上げて、満足そうに言った。
やっぱりって何よ。
あたしだって普段は男っぽくても、力まで男なわけじゃないしっ。
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