「あたしとも、もう会ってくれないってこと?」
「あぁ」
「じゃあどうすればいいの?また居場所がなくなったら……あたし…」
「居場所ならあんだろ」
今度は優しい口調の蓮に、麻奈美は思い当たる節があるのか口を閉じた。
あたしには何の話をしてるのか、さっぱり分かんない。
でも、それをとやかく聞こうとは思わないし、深く知りたいとも思わない。
2人には、あたしと蓮より長い時間を過ごしてきた分の2人だけの事情があって。
それは仕方のないことで。
気にならないって言ったら嘘になるけど、わざわざ掘ってまで聞こうとは思わない。
少しして、黙ってた麻奈美がやっと口を開いた。
「祥平のこと?」
知らない名前が出てきても、一応耳は傾けていた。
「あいつの気持ち気づいてんじゃねぇのかよ」
「……」
「俺が他の女んとこ行ってる間、祥平ん家に行ってたんだろ?」
「…うん」
「お前心許してるやつの家しかいけねぇって言ってただろうが」
「…っ」
「俺じゃねぇだろ」
「…っ」
「頼る相手も、そばにいてほしい相手も」
どこか説教じみた蓮の話を、麻奈美は静かに聞いてた。
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