「……何で、泊まらせるの?」
「……」
「その理由教えてよ」
「……」
「心配するようなことはないんでしょ?だったら……理由教えて」
「……」
じゃないと納得できない。
何か訳があるのは分かるけど、それを知らないで、
“じゃあ蓮を信じるね”……なんて簡単に言えるほど、心が広い女じゃない。
でも理由を言ってくれれば、その内容次第で変わってくるかもしれない。
それくらい、あたしは覚悟できてるのに――…。
「それは言えない」
あたしの耳には…………蓮の真剣な声が聞こえた。
聞き間違えかと。
もう1度聞こうかと。
一瞬の間にそんなことが頭の中をぐるぐる回っていた。
夏なのに、心や空気は冷めていた。
「な、んで?」
「澪には関係ねぇから」
何かが―――……崩れた気がした。
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