「澪、いるんだろ？」
やっと涙が止まったと思ったら、ドア越しに蓮の声が聞こえた。
来てくれたことは嬉しい。
でも今は………会いたくない。
だから、そのあとも何度も声が聞こえたけど全部無視した。
「分かった。返事しなくていいから話は聞いて」
それなのに、蓮は諦めることなくそう言ってきた。
それに対しても、あたしは返事をしなかった。
なのに蓮は、
「泊まらせるのは嘘じゃない。けど澪が心配するようなことはねぇから」
話を続ける。
その言葉に、引っ掛かった。
「心配するようなことはない？」
「あぁ」
「それってどういうこと？でも泊まらせるんでしょ？」
「……あぁ」
どういう意味？
やましいことがないってこと？
蓮が好きじゃないから、泊まらせても何もないから平気ってこと？
そんなの信じてる。
言われなくったって分かってる。
でも女の子が泊まるんだから、何もないって信じきれるわけない。
ましてやまだ付き合ったばっかで、蓮の全部を知ってるわけじゃない。
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