「相談したいことがあるっつうから、ちょっと話してた」




舌打ちしたから怒ったのかな………と思いきや、意外にもいつもの口調と変わりなかった。



でも、あたしからしたらそれが逆に怪しく思えて。




「その子に……麻奈美って子に携帯貸したりした?」


「携帯?貸してねぇけど……何で?」


「ううん?何でもない」




あたしのあやふやなその返答にもっとつっこんでくるかと思ったけど、


蓮がそれ以上聞き返してくることはなかった。



でも本題はここじゃない……。



聞きたいことが、あと1つだけある。




「泊まらせるの……?」




どうやって聞くのが良いのか分かんなかったから、結局単刀直入になっちゃった。



聞いたあたしの声は…………震えていた。



いつもの良いドキドキじゃなくて、今は嫌なドキドキがある。



“泊まらせない”って、どこかで言ってくれるって信じてるからなのかもしれない。



そんなことしないって。

あたしが欲しい言葉をくれるって……。



でも………期待しすぎてたのかもしれない。





「あぁ。今夜だけ泊まらせる」




真夏の暑い夜――…



蒸し暑いはずなのに、なぜかそのとき一瞬だけ冷たい風が通って………



その言葉とともに流れていった。




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