ブォンブォンと、さっきのようにバイクが近付いてくる音が聞こえた。
「澪……?」
「ん?」
「だい…じょうぶ?」
さっきまで威勢よかったあたしが急に大人しくなったからか、晶乃が心配そうな顔で覗いてきた。
「大丈夫だよ。たぶん今の音、蓮だろうから行ってくるね」
「う、うん」
あたしは外に向かった。
すると、そこにはまだバイクに乗ったままの蓮がいた。
ヘルメットを被っているからか、あたしがいることには気づいていないようだった。
「わっ!」
「わっ!……って、澪かよ」
「澪かよとは何よー」
「なんだよ、拗ねんなよ」
蓮はハニかんで、あたしの頬を摘まんで引っ張った。
『いたっ』と痛がるあたしに、蓮は『ごめんごめん』と屈んで頬にキスをした。
その行為に………こんなときでも相変わらず照れちゃうあたし。
蓮が帰ってきたら、いっぱい問いただしてやろうと思った。
とことん責めてやろうと思った。
でも、やっぱり蓮はあたしが好きになった蓮に変わりなくて……。
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