麻奈美って人は自分が話したいだけ話すと電話を切った。
口調や会話から電話の相手が蓮じゃないと分かってたらしい晶乃は、
「誰から?」
眉を下げ、心配そうな声で聞いてきた。
「蓮の昔遊んでた女の子から」
あたしが淡々とした声でそう言うと、晶乃は『えっ!何それ!』と驚いた。
だけど、晶乃も同じ考えだったみたいで、『そんなの気にしない方がいい。どうせ嘘なんだから』と言ってくれた。
……だよね。
信じたらダメだ。
そう思ったからその電話の件は忘れ、他の話をしてた。
蓮たちがバイトから帰ってきても、そのことを蓮に言おうとは思わなかった。
そんなのいちいち言う方がめんどくさいだろうし、言うほどのものじゃないだろうって思ってた。
夜の8時頃、外からバイクが近付いてくる音が聞こえてきて、蓮たちが帰ってきたんだと思い、
晶乃と1階に降りて、いつものたまり場に行った。
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